古き神の、無慈悲な許し
ゆらゆらと、滲み、溶け出す意識はただ境界をあいまいにぼかしながら、青い青い闇へと拡散していく。
――よくやってくれた。払暁を纏う、真白の闇よ。
なぁ、お前はどこにいる? お前は俺ではない“俺”の許に辿り着いたのか? それとも、この先にあるという夢の都にて、眠っているのか?
――あの刀は、確かに神剣。“この世界”の神の力を纏う刃なれば、私にはなせなんだ“この世界の神による”しがらみを断ち切ることが適った。
お前があの男のモノだというのなら、俺は、いったいどこに往けば“お前”に出会えるのだろうな。
――私の愛し子を弑したこと。それによってお前が負ってしまった“私”からの祟りは、世界の理ゆえに覆せないけれど。
同じなれど異なる俺をお前が愛したように、俺はきっと、異なれど同じ“お前自身”を恋うだろうから。
――果てなき輪廻の向こうで、いつか。お前がお前を満たす存在に出会う星宿を、我らは祝福し続けよう。
どうか、どうか繰り返されるという命の巡りの向こうで、いつか“お前”に出会ってその名を得ることを。どうか、俺にも許してくれ。
Fin.