朔夜のうさぎは夢を見る

恋愛、それは神聖なる狂気である。




 だってさ、そうは思わないかい?
 すべてを諦め、認め、倦み、疲れて厭きて、死に場所を探していた男が、世界を変えた。
 それがどれほどの奇跡か、わからないはずがないだろう?

 奇跡の体現者なんてのはね、たいがい、どっか狂ってるのさ。
 オレみたいな凡人には、とてもじゃないけど計り知れない。計り知れたら、奇跡なんていうありえない可能性には届かないもんだ。

 だからね、あの男は狂人だった。狂気を抱えていた。
 たったひとりの女が、この世界で、あの男に巡り合ったがために。数多の運命においても唯一無二の狂気を、あの男は抱くに至ったのさ。

Fin.

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