俺と帝で雪遊び 〜雪だるまを作る〜
さて、本日は何をなさっておいでですか、と。
わざわざ問い合わせに訪れたのは、幸か不幸か、用向きがあって清盛の住居を訪ねていた経正だった。
「お、よく来たな! ちょうど良かった」
にこにこと満面の笑みを浮かべ、この寒いのに額に汗をかきながら将臣は経正を歓待する。
その傍できらきらと目を輝かせたまま、反応を示さない幼子には何も言うまい。厭われてのことではない。ただ、夢中なのだ。
今日は雪が降った日の正しい遊び方を教えてやろう。
そう高らかに宣言して庭の片隅に走って行ったのが、一刻ほど前のことだそうだ。上気した頬は、興奮ゆえか暑さゆえか。
とりあえず、寒さゆえでないことは確かだろう。確認したわけではないが。
「よくできてるだろ?」
巨大な雪玉をふたつ積み重ね、小枝やら布切れやら宝物やらできらびやかに飾り立てられているのは。
「……叔父上、ですか?」
「将臣殿、すごいのだ!」
頭痛を気のせいだと思い込みながら問いかけたのに、そんなにきらきら歓声をあげられては、嗜めることもできない。
こうしていつものように、将臣の珍妙で、時に経正達の常軌を逸した行動は、特例となって一門に浸透していくのだ。
Fin.