俺と帝で雪遊び
寒い、寒いと思っていたら、一晩で結構な量の雪が降った。で、さらに昼間も降り続いて、その次の日には相当な量の雪が積もっていた。
京都は盆地だもんな。夏が暑くて冬が寒い。ぶっちゃけ、俺はしんどい。
でも、雪が降ったのを見て「風流なこと」とかなんとか言ってる連中を尻目に、こういう機会だからこそ、言仁を楽しませてやれる。
「おーい、手習いが終わったら、庭に来いよー」
「あ、将臣殿!」
思いついたサプライズを演出するため、庭から部屋まで回って誘いをかけておく。こうすれば、予定よりも早く庭に来ることもないし、一緒に遊んでても怒られないし。
俺がこうして、他の連中とは違う誘いをかけるということを、すなわち物珍しい遊びのチャンス、ということは既に学習済みなんだろう。ぱっと顔を輝かせて、必死に頷きまくってから「おばあさまー」と叫びながら遠ざかる小さな背中が微笑ましい。「走ると怒られるぞー」という忠告は、きっと聞こえてないだろうし、もう遅いだろうからまあいいか。
「さ、何を作ろうか」
見渡す限り、上質のパウダースノー。雪遊びの後で手を温めるための湯も沸かしたし、思う存分、雪祭りといきますか。
Fin.