幼馴染は似るものらしい
久しぶりにネタを見つけたんで、久しぶりに日記を書いてみようと思う。
太陰暦と太陽暦のズレはあるけど、基本的に都合のいいように解釈して生きるのがベターだってのが俺のポリシーだ。
ほら、細かいこと気にしてても、しょーがねぇしさ。
なるようにしかならねぇんだから、その場その場で臨機応変に生きてくのが賢い選択ってヤツだろ。
そんなわけで、俺は暦のズレは気にしない。
気にしないんだから、如月の十日余り四日がバレンタインってことでオッケーだ。
とはいえ、これは別に細かく話したことなかったんだよな。
宴のこじつけにも酒飲む口実にもならないし、俺、恋人なんかいなかったし。
ところが俺の偉大なる幼馴染殿が、どっかでつるっと俺の複雑怪奇な義弟殿(兄)に話しちまったらしい。
当然ながら、義弟殿(兄)がそれを聞いてターゲットにすんのは、これまた不可思議な一面を持ってる女房殿。
あらため、現時点でぶっちぎり、どこをふらふらしようが誰の追随も許さない、超本命の恋人殿。
でも、現代の常識をばっちり持ってていいはずのその人は、この世界での"非常識"をなるべく排除して生きるのがどうやらポリシーなわけで。
余計なことをしてくれんなよ、とか。思うところもあるけど、どうなるかが見物なわけだ。
知盛はともかく、胡蝶さんは自分達がどんだけ人騒がせな関係にあるか、自覚が薄いっぽいからな。
八つ当たりとか拗ねられたりとか、そういう結果にならないように祈りつつ、そうなったらなったでちょっと楽しいよなぁ、とか。
思う俺は、別に独り身であることを僻んでいるわけじゃないってことをまずは宣言しとく。
懲りてなかったらしい俺
面倒なことは嫌だけど、これでベタベタな恋人模様、とかを見せつけられたらそれはまたなんかイメージと違って嫌だなぁ、と思ってたのが本音だ。
でもまあ、結果はある意味予想通りっつーか筋書通りっつーか。
あらゆる方面に、人の期待を裏切らない二人だと思う。
つまるところ、何にもなかったっぽいんだな。少なくとも、如月の十日余り四日の時点では。
てか、考えてみればある意味当然だ。
これまでだってクリスマスも誕生日の習慣も言いださなかったって聞いてるしさ。
その辺の割り切り方ってのか? そーゆーの、確かに胡蝶さんらしいよなぁ、なんて俺は微笑ましい気持ちになる。
けど、昨日見かけた知盛はちょっとやさぐれてたっぽくて、普段のアイツらしくない感じが微笑ましくって、ついうっかり笑っちまった。
で、笑っちまうだけなら嫌な兄貴だろ?
"平重盛"は、人徳者で有名だったって話だからな。
俺もまあ、少しは見習ってみようかと思ってさ。
ちょちょっと入れ知恵っつーか、アドバイスっつーか、根回しっつーか。
そんなもんをしてみたら、胡蝶さん、すっげぇ綺麗にはにかんで、呆れた感じの溜息を優しくついてくれた。
そういう「わかってますよ」ってところを見せつけられると、羨ましくなるし、微笑ましくなるし、余計なお節介だったかなぁってちょっと思ったりする。
でも、そんなちっぽけな後悔はあっという間に吹っ飛んだ。
まあな、あの二人が"そういう"二人だってわかってたし、再確認したんだから、そこは割り切れって言われたらそれまでなんだけど。
今日の知盛の上機嫌っぷりと、重衡から聞いたその原因に、俺の目が遠くなったのは誰にも責められたくないと思う。
数え方に自信がないとか言っときながら、胡蝶さんは俺より数段頭が良かったらしい。
そりゃな、確かに年末のめっちゃ半端な時期に、相当苦しい言い訳をつけてなんかプレゼントしてたのは知ってた。
だけどさ、それがアバウトに太陽暦のバレンタインの時期だったなんて、誰が知ってるかってんだ。
とりあえず、馬に蹴られるような余計な口出しは、金輪際二度とするもんかって心に決めた。
決めたのが何度目か、もう覚えてもないけどな。