熊野別当殿の場合
そりゃやっぱ、かわいげだろ。
特に、普段は必死に強気なふりをしている姫君がふとした瞬間に見せる弱気とか、たまんないね。
強がってるのも可愛いし、強がりきれていないのも愛らしいよ。
完璧でつけいるスキがないのが一番よくない。
いいんだよ、完全じゃなくて。
そこを助けて、補ってこそ男冥利に尽きるってもんだろ?
頼られるとつい、手をさしのべたくなる。弱っていればいるほどいいね。それでも、最後まで強がろうとして足掻いているのが最高。
オレしかいないって、思わせてやれるだろ?
それでオレに溺れればいい。
他の男になんか、目移りしようがないくらいにね。
(……コイツ、俺より年下なんだよな。そうなんだよな)
(ええ。紛れもなく、ヒノエは僕らの中で最年少ですよ)
(なんか、俺よりだいぶコアな趣味だけど、大丈夫か)
(なかなか深い解釈だったな)
(………賛同者ゼロかよ)