背中なら確認
神域の中心に近づけば近づくほど、胸が締め付けられるのを感じていた。
清浄なるモノから拒まれるのは、当然のこと。それが世の理。
わかっているからこそ、敦盛は哀しくなる。
そして哀しみに拍車をかけるのは、すべてを察しているだろうに手を引く友人。
わかっているのだろう、と、語りかけることはできなくて、代わりに背中に口づけた。
(ヒノエ ← 平敦盛)
神域の中心に近づけば近づくほど、胸が締め付けられるのを感じていた。
清浄なるモノから拒まれるのは、当然のこと。それが世の理。
わかっているからこそ、敦盛は哀しくなる。
そして哀しみに拍車をかけるのは、すべてを察しているだろうに手を引く友人。
わかっているのだろう、と、語りかけることはできなくて、代わりに背中に口づけた。
(ヒノエ ← 平敦盛)
何度も何度も昏倒と覚醒を繰り返し、やがてようやく敦盛は理性を取り戻した。
ぼろぼろになった部屋の惨状に唖然とし、床に縫い止められている現状に呆然とする。
縫い止めているのは、そこかしこから血を滲ませ、苦痛ではなく悲痛に表情を歪ませる銀色の従兄。
両手首を誰かに抑え込まれたまま、敦盛は知盛が己の胸元に唇を落とすのを見ていた。
すまないと、ごくごく小さな謝罪の声は、呪具による戒めの音にかき消された。
(平敦盛 ← 平知盛)
くるおしいほどのこの思いは、
きっと、きっと狂気と紙一重