朔夜のうさぎは夢を見る

背中なら確認

 神域の中心に近づけば近づくほど、胸が締め付けられるのを感じていた。
 清浄なるモノから拒まれるのは、当然のこと。それが世の理。
 わかっているからこそ、敦盛は哀しくなる。
 そして哀しみに拍車をかけるのは、すべてを察しているだろうに手を引く友人。
 わかっているのだろう、と、語りかけることはできなくて、代わりに背中に口づけた。

(ヒノエ ← 平敦盛)

back to 俺日記 index

胸なら所有

 何度も何度も昏倒と覚醒を繰り返し、やがてようやく敦盛は理性を取り戻した。
 ぼろぼろになった部屋の惨状に唖然とし、床に縫い止められている現状に呆然とする。
 縫い止めているのは、そこかしこから血を滲ませ、苦痛ではなく悲痛に表情を歪ませる銀色の従兄。
 両手首を誰かに抑え込まれたまま、敦盛は知盛が己の胸元に唇を落とすのを見ていた。
 すまないと、ごくごく小さな謝罪の声は、呪具による戒めの音にかき消された。

(平敦盛 ← 平知盛)

back to 俺日記 index

キスした人がキスをされて、ひとめぐり










(伝えたくて、伝えたくて、)
(伝えるわけにはいかなくて)


(平知盛 / 平重衡 / 有川将臣 / 平惟盛 / 平清盛 / 平言仁 / 春日望美 / 白龍 / 梶原朔 / ヒノエ / 平敦盛 / 平知盛)
(平家の愛から平家の哀へ、ひとめぐり)

back to 俺日記 index

http://mugetsunoyo.yomibitoshirazu.com/
いらっしゃらないとは思いますが、無断転載はやめてください。