あお
この色鬼のルールは、勝った側がお題を出すというものだ。
さっきのお題は、俺の違反負け。ヒトを巻き込むなっていう忠告を無視したから、俺の負けなんだってさ。
にったり嗤って嫌味を残して去っていった知盛の背中は、間違いなく大爆笑していた。けど、あれが爆笑ですむのは今だけだ。
胡蝶さんを巻き込んだことを知ったら、きっと絶対もっとチクチクやられる。いっそ逃げ出したい。
まあ、とりあえず、次のお題も帝の番。頼む、頼むから無難なものにしてくれ。
てか、お題自体の難易度はどーでもいいから、持ってくる物のハードルを下げてくれ頼むからッ!!
さすがに大人げないから、声には出さなかった。
けど、必死になって目で訴えたのが伝わったのか、帝はしばらく悩んでから「あお」と呟いた。
あお、これは簡単なようでいてめっちゃ難しい。
なにせ、この時代の「あお」は本当に多種多様なんだ。
俺の感覚で「あお」だと思っても、ここの連中にしてみればいろんな別の名前になる。
そんなまっとうな意味で首をひねりながら探しに行ってみたってのに、帝はまるで動く様子もない。
なにか作戦でもあるんだろうなぁって思ってたんだけど、なんとかもらってきた衣を手にした俺を前に、帝はやっぱり手ぶら。
「つかまえたのだ」
にっこり笑って、しゃがむように言った帝は俺の頭を抱きかかえる。
ルールがどうとか、もうどうでもいい。愛されてんなぁ、って。
不覚にも泣きたくなったから、やっぱり俺の完敗。次はもうちょっと、別のゲームをやることにするよ。