朔夜のうさぎは夢を見る

こんじき

 次なるお題は、なんともびっくり「こんじき」だった。

 おいおい、こんじきって、あれだろ? 金色、ゴールド。
 そりゃ、知ってる。この邸を探せば、きっとどっかしらに金色のものなんて転がってるんだ。
 けど、それを当たり前のように持ち出していいのか?
 いや、まあ帝は仮にも帝なんだから、何を持ち出しても怒られないんだろうけどさ。

 とはいえ、そうやすやすと負けてやるのも悔しい。
 いろいろ考えた末、俺は自分の鎧の一部を持ち出すことにした。
 こんな遊びに使うなって目で見られたけど、しょうがねーじゃん。
 他のものを持ち出すぐらいなら、これが一番無難だっての。

 さて、それで帝が何を持ってきたと思う?
 ちなみに、俺の事前予想では何かしらの金細工だった。どうせ帝の周りにはごろごろしてるだろうしな。
 でも、予想はあっけなく裏切られた。ある意味安心する方向だけど、めっちゃ頭の痛い方向に。

「おお、重盛! 帝と遊んでおるのだそうだな。お主はほんに、子らと遊ぶのが好きだのぉ」
「おじいさま、今のところ、私の連勝なのですよ!」
「うむ、それは素晴らしい。しかし重盛、大人げないのも困るが、負けっぱなしというのもどうなのだ?」

 ああ、微笑ましい。微笑ましくて涙が流れてくるよ。確かに、その人はキンキラだよな!
 俺、帝の思考回路がだんだん読めてきたような気がするよ。

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