未知との再会
さすがに三度目になると俺だって学習する。
二度あることを三度も起こさねぇ。三度目の正直だ。
今日は、ちゃんとあらかじめ重衡に知盛の予定を聞いておいた。
おかげでちゃんとヤツに会えたし、惟盛の息子に余計なことを吹き込んでくれたことへの文句も言えた。
色々衝撃的過ぎて昨日は目的を忘れてたけど、コレが本来の目的だったんだ。
のらりくらりとかわされて、にったり笑って「いいじゃないか」とか言われて、俺もなんだか怒ってた気持ちがいい加減萎えてたから、なぁなぁで終わったけどな。
ま、目的を果たしたからそれでいっかってことで、さっさと帰ろうと思った。
それが俺の精神衛生上、一番安全だと思ったわけだ。
けど、やっぱり二度あることは三度あるらしい。
どう見たって、柱の陰に隠れようとして隠れ切れてない(そしてきっとそれをわかってない)のはアレだ。座敷童(仮)だ。
うわちゃーって顔をしてたんだろうな。
俺を見てひょいっと片眉を跳ね上げて、知盛は後ろを振り返った。すっげー優しい笑顔で。
それを見て、あー、コイツも人の親なのか、それなりに情があんのかって。
妙に感心しちまったことを告白しとく。
まだ見ぬ未知達
結果から言おう。座敷童(仮)は知盛の息子じゃなかった。
ある意味ほっとしたけど、今度は別の意味で精神衛生に良くねぇ。
じゃあ誰の子なんだってことで、そのまま飲み会に突入した。
もいっちょ結果から言っちまうと、座敷童(仮)は帝の弟って話だった。
母親が違うから、知盛との血の繋がりは薄いらしい。
繋がってないわけじゃない理由は、割愛だ。
結婚の関係図が複雑だし、養子縁組も多いから、この辺はあまり気にしなくていいってことを学んだ。
なんでも乳母さんが体調を崩したらしくて、そこから女房さん的ネットワークで、知盛の邸でしばらくベビーシッターをしますって話に落ち着いたらしい。
さすがに超お姉さま方が揃ってるだけあって、知盛の女房さん達は大ベテランが多いんだそうだ。
おまけに、知盛も帝の叔父にあたるから、預けるにしてもちょうどいいポジションにある、と。
このての複雑なしがらみは、俺にはよくわかんねぇけどな。
で、その帝の弟(宮様って呼んでた)が知盛に懐いて、うっかり親子ごっこを楽しんでいたからの「父上」事件だったってのが事の真相。
まあ、なんだ。けど、コイツも重衡も相当に遊んでるからな。
子供の一人や五人や十人、いたって驚くつもりはねぇ。
とりあえず、認知はしてやれよってことで話を締めくくってみた。