十七歳・未婚・孫持ち
俺は清盛の息子で惟盛の親父の重盛さんに似ている。らしい。
会ったことないからわかんねぇし、清盛は親父に似てはいないからな。
だが、まあ、みんながみんな口を揃えるんだから、似てるんだろうと思う。
で、だ。
そんなわけだから、邸の中で幽霊を見た! みたいな顔をされることにはそれなりに慣れた。
最近は俺に慣れたのか、そういうやつも減ったけどな。
はじめは、惟盛の弟達にも「父上?」って言われたし、清盛の兄弟には黙って眩しそうに見られたし。
さすがに歳が離れていて俺ぐらいの年齢の顔はよく覚えていなかったのか、知盛と重衡はほぼ無反応だったけど。
今から考えれば、知盛のアレはリアルに無反応かもしれねぇけど、重衡のアレは仮面だったのかもしれない。
アイツの鉄壁の笑顔は、本当に文字通り鉄壁だからな。
まあ、現実逃避はここまでにして。
それでも、あんなにめっちゃ笑顔で「おじいさま!!」とか言われたのは人生初体験だった。
…………この歳で孫持ちとか。泣いてもいいですか?