そう遠くない未来に
「かっわいいなー、神田くん」
「神田がっスか? じゃなくて?」
「くんが可愛いのはいつものことじゃない。まあ、僕のリナリーには敵わないけどね!」
「あー、ハイハイ」
「ちょっとリーバーくん! 適当な返事ならいらないよ! その代わり、二度とリナリーの淹れたコーヒー飲ませてあげないからねっ!!」
「はいはい、スミマセンでした」
「えー? なんかすごく適当な感じ?」
「そんなことないですよ。まあ、確かにさっきの神田はいつになく素直っていうか、確かに可愛かったですね」
「なんか流された感じだけど……。まあ、ね。神田くん、結局くんには甘いよね」
「意外にフェミニストなんですかね。リナリーにも、俺たちより断然受け答えが丁寧ですし」
「それはだってリナリーだよ? 蔑ろにしたら、僕が黙ってないよ?」
(あー、早々にそれを嗅ぎつけたのか。いい勘してんなぁ)
「リーバーくん? 今、何か変なこと考えてなかった?」
「いえいえ。そんなことないっスよ。それより、せっかく忠告されたことですし、たまにはまっとうに朝飯食いませんか?」
「うん、そうしようか。あ、そういえばシャワー浴びたいみたいなこと言ってたよね。急げば先回りできるかな?」
「神田たちのですか? 先回りして、一緒に食事でもするんですか? 絶対嫌がられますよ、神田に」
「そんなことしないし、そんなのわかってるよ! そうじゃなくて、最近リナリーがくんと食事をするのを楽しみにしているらしいんだ。ジェリーの話だと、すっごくいい顔で笑うんだって」
「ああ、なるほど。わかりました。お付き合いしますよ。でも、そうですか。良かったですね。リナリーも、同年代で同性の友達は嬉しいでしょう」
「おまけにあんなにいい子だしね。あーあ、神田くんにはもったいないなぁ」
「あ、やっぱりあの二人ってそういう関係なんですかね?」
「ちょっと違うような気もするし、ませすぎな気もするけどね。リナリーは絶対そうだ、って言うんだよね」
「へえ、やっぱりそうなのか」
「それもあって、リナリーとっても楽しそうにあの子たちのこと話すんだよ」
「まあ、女性は年齢を問わずその手の話題が好きですからね」
「リナリィイーッ!! お兄ちゃんは許さないからねーっ!!」
「はいはい、飛躍しすぎですよ。で、室長? 来ないんなら置いていきますよ」
「あっ、ちょっとリーバーくん! 酷いよ!」
「さっさと来てください。で、さっさと食って、今日も仕事に励みましょうか」
(……うるさいやつら)
(そうだわリナリー! ねえ、早く! 待たせたら悪いもの)
(………寄り道したがったのはお前だろうが)
(その通りなんだけど、ね!)
(ああ、ったく! おら、行くぞ!)
(ええ!)
Fin.