世界でたった一つの
お前は確かに布石だった。
お前をきっかけに、小僧はその強さを飛躍的に向上させた。いまや立派な、冷酷無比と恐れられるエクソシストの鑑。そして遠からず、お前の許へと辿り着くだろう。それが、お前の案じていた、お前の命で足りなかった代償だ。
だから、なあ、小娘。お前にはどうせこの未来が見えていて、この先も視えていたんだろう。
ならばせめて、心だけは傍においてやれ。
お前がどうして消えたのか、どこに消えたのか。生きているのか死んでしまったのか、そんなこと、推測はおろか想像の域さえ出ない。だが、お前と小僧が鞘と刃だというのなら。お前たちの誓いと覚悟に、偽りがないというのなら。
「最後まで、対として在りつづけるのが筋ってもんだろうが」
Fin.